ワイ監督による自担主演映画脚本


これはわたしが「すばるくんのこんな映画が見たい!」っていう夢と欲望と期待を込めただけのお話です。
脚本の書き方については大3のときに半年間勉強しただけですので、正直うろ覚えです。
ト書きは3字下げるとか、台詞は1字下げて行を跨ぐときは更に1字下げるとか教授に言われた気がしています。


先に言います、長いです。
あとわたしは関西の人でもないし、団地にも住んでいません。
読んだ後の文句等はわたしが傷つきますので心の中にそっとしまって鍵をかけてあげてください、そして絶対に開けないでください。


ブログ書いた後ってとんでもない賢者タイムに突入するんですけど、貧乏性なので出しました。







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○団地・公園

公園内に生えている桜の木から花弁が舞う。
桜の木の側のブランコに座るすばる。
ブランコを揺らすと軋んだ金属音が鳴る。
主婦A、公園の前を通りかかる。

主婦A「あら?すばる、今日は店休みやったっけ?」
すばる「今日、ライブやから。臨時休業。景気付けに花見しとんねん」
主婦A「まぁ、そやの!せやったら今買うてきたお団子あげるわ!ライブ、頑張りや!」
すばる「ありがとお、おばちゃん」
すばる、気の抜けた顔で笑う。
主婦A「まだお姉さんやで〜〜!」

主婦A、後ろ手に手を振り公園を去る。
子ども(5~6歳)が3人、公園に駆け込んでくる。

子どもA「すばる兄ちゃんおった!」
子どもB「母ちゃんがな!すばる兄ちゃんが公園おったから遊んでもらえって!」

子どもA・B、すばるの座っているブランコを左右から揺らす。

すばる「ええ?兄ちゃん、もうすぐ出かけなアカンねんで……?」
子どもC「えー!すばる兄ちゃんおらなおっきい城作れへんやん!」

子どもC、すばるの肩を後ろから掴んで揺さぶる。
子どもA「ちょっとだけ!ちょっとだけやから!」

すばる、目を細めて笑う。

すばる「しゃあないなぁ……、ちょっとやで?」

すばる、子どもAの頭を撫でながらブランコから立ち上がる。
喜ぶ子どもA・B・C。
すばると子どもA・B・C、砂場に向かう。

すばる「お前ら半袖寒くないんか……?」
子どもB「走ってたらすぐ暑なるって!」
子どもC「あ!すばる兄ちゃん団子持っとる!」
すばる「E棟のおばちゃんに貰たんや。あとで手洗って食べよな」

会話を交わしながら歩くすばると子どもA・B・Cの後ろ姿。




○電車・車内

断続的なレールの継ぎ目の音。
電車内の人の話し声。
すばる、ギターを背負ってドアの側に立ち、外を眺めている。
目を閉じる。

車掌(声)「次はー、……」

すばる、目を開ける。
睨みつけるような険しい目になる。




○ライブハウス・入口

すばる「おはよーさん」

すばるの声に気付き物陰から顔を出すメンバーA。

メンバーA「すばるくん遅いっすわ~!今日の曲で聞きたいことあるって言うたやん!」

騒がしいメンバーAの声を聞き、現れるメンバーB・C。

メンバーB「(笑いながら)社長出勤やなぁ~!」
メンバーC「すばるも来たし、とりあえずリハの前に何か食おうや。腹減ったわ!」

メンバーA・B・Cの後に続いて歩くすばるの後ろ姿。
楽屋に入り、姿が見えなくなる。




○同・ステージ(夜)

曲の盛り上がりと共に観客の歓声が鳴り響く。
ステージを照らす数色のライトの光がすばるの目で反射する(目のアップ)。

すばる「もっと……、もっとや!!!」

すばるに煽られ更に歓声を上げる観客。




○電車・車内(夜)

メンバーA「じゃ、お疲れっしたー!」

メンバーA、手を振りながらホームに降りる。
すばる、片手を上げ応える。
電車が動き出す。
すばる、座席に深く座り込む。
深く息をして目を閉じる。




○同・車内(夜)

すばる、眠りから覚めて目を開ける。

子どもA「あ!すばる兄ちゃん!」

開いたドアから乗り込んできた子どもA、すばるに駆け寄る。
気が付いたすばる、子どもAに笑いかける。

すばる「おお、お前もどっか行ってきたんか」

子どもAの後に乗ったA母、申し訳なさそうにすばるに近付く。

A母「すばるちゃん、ごめんなぁ。今日、ライブやったんやろ?せやのに、おばちゃん知らんでこの子達押しつけてしもて……」
すばる「気にせんでええよ。楽しかったし、なぁ?」

すばる、子どもAの顔を覗きこみ同意を求める。

子どもA「せやで!すばる兄ちゃんな!バケツでこーんなおっきい城作ってくれてな!めっちゃ楽しかってんで!」

すばるとA母、大きく手を広げながら説明する子どもAを見て笑う。

A母「そら良かったなぁ。すばるちゃん、ありがとうな」
すばる「(笑いながら)どういたしまして」




○団地・屋外(夜)

子どもA、すばるに手を振る。

子どもA「すばる兄ちゃん、ばいばい〜!」

すばる、子どもAに手を振り返す。

すばる「ばいばい、ちゃんと歯ぁ磨くんやで」

すばる、A母・子どもAが手を繋いで団地内に入るのを見送る。




○団地・屋外

セミの鳴き声。
団地の敷地内を歩くすばるの後ろ姿。

D母「すばちゃん!」

すばる、振り返る。

E母「ちょうどよかったわぁ!今時間ある?」
すばる「え、大丈夫やけど……なにぃ?」

すばる、顔をしかめる。

D母「いやな、A棟の斎藤さんと佐藤さんにお茶誘われてんねんけどな、この子らおるしアカンね~って話してたんよ!」

すばる、それぞれの母親に手を繋がれた子どもD・E・Fを見る。

F母「そこに狙ったみたいにすばくんが目の前に現れたやないの!頼むわ!ちょっとこの子ら見といてくれへん?」
すばる「なんや、そんなことなん?ええよ、別に」
E母「ありがとお~!これ、暑いから4人でジュースでも買うてな!」

E母、すばるに1000円を渡す。

E母「ほな頼んだでー!」

すばる、子どもD・E・Fと共にD母・E母・F母を見送る。

すばる「さ、公園行こか」




○同・公園

子どもD・E・Fが声を上げて公園内を走り回る。
ブランコに座っているすばる。

すばる「そんな走り回ったらコケるやろー!服汚したら母ちゃんに叱られんの兄ちゃんやねんでー?」
少女(9)「すぅちゃん!!」

少女、公園の中に入りすばるに駆け寄る。

すばる「なんや、暑いのに元気やなぁ、何かいいことでもあったんか?」

少女、口を両手で隠し「ふふっ」と笑みを零す。

少女「あんなぁ、うちなぁ、好きな子できてん!」

少女、すばるの隣のブランコに座る。

すばる「ホンマか。どんな子なん?」
少女「えっとなー、かっこよくてー、足が速くてー、あっ!かけっこでいっつも1番取んねんで!でも算数は苦手でー、あと、給食食べるんが早い!」

少女、指を1つ2つと折りながら話す。

すばる「やっぱ小学校じゃ足の速い子がモテんねんなー」
少女「あとな!すっごく優しい!おそうじ当番は手伝ってくれるし、落とした消しゴム拾うてくれたし、先生に頼まれたノートを返すのも一緒にやってくれたんやで!」

少女、ブランコを漕ぎながらニコニコと話す。

すばる「なんやゾッコンやなぁ。最近兄ちゃんのとこに来おへんかったんは他の男のせいなんかー」

少女、足でブランコを止める。

少女「なに言うてんの、すぅちゃんはもう昔のオトコなんよ?しつこいオトコは女の子に嫌がられんねんで!」
すばる「ふっ、はは!そうか、兄ちゃんは昔の男か!どこで覚えてくんねんな、そんなん」

すばる、少女の頭を撫でる。

少女「もぉー!女の子の髪は軽々しく触ったらアカンの!」
すばる「スマンスマン、もうせえへん!」

すばる、笑いながら両手を上げ降参のポーズ。

少女「しゃあないから許したげるわ!」
すばる「ふふ、ありがとお」
少女「どういたしまして!」

少女、公園の入口で少女を呼ぶ母親に気付く。

少女「あっ、お母ちゃんや!ほな、うち帰るな!ばいばーい!」

すばる、手を振りながら公園を出ていく少女を見送る。




○同・屋外

D母「すばちゃん、ホンマありがとうな~!」

すばる、母と手を繋いで歩いていく子どもD・E・F を見送る。




○同・すばる家

玄関に立て掛けてあるギターケースを背負う。
ドアが閉まる。
鍵のかかる音。




○電車・車内

すばる、ギターケースを足に挟み、座席に座る。
徐々に繁華街へと変わっていく窓の外の街並み。
すばる、目を閉じる。

車掌(声)「次はー、……」

すばる、険しくなった目を開ける。




○ライブハウス・ステージ(夜)

鳴り響く音楽と歓声。
すばるの目に反射する数色のライトの光(顔のアップ)。
激しさを増す音楽に比例するように歓声も大きくなる。
ライブ最後の曲が終わる。
すばる、激しく息をつきながら天を仰ぐ。
目には白色の光だけが反射している(目元のアップ)。




○同・楽屋(夜)

メンバーA、楽屋のドアを開けて入ってくる。

メンバーA「あっつーーー!!!汗ビッショビショや!」

後に続く、順にメンバーB・C・すばる。

メンバーB「今日凄かった~!なんやまだ頭ふわふわするわ~」
メンバーC「いっつもやろ、頭ん中がふわふわなん」
メンバーB「なんやねんそれ〜!どういう意味!?」

すばる、メンバー達の喧騒を見つめる。

すばる「なあ」

メンバーA・B・C、すばるを振り返る。

すばる「俺、バンド抜けるわ」
一瞬の間。

メンバーA「は?すばるくん……?なに……?なに、言うてんの……?」

すばる、メンバーA・B・Cを真っ直ぐに見つめる。

すばる「今日、最高やった。いいライブやった。やっぱお前ら最高や。せやから、満足してしもた」

すばる、伏し目になる。

すばる「いっつも、お前らとなら、もっと上に行ける、って思っとった」

すばる、拳を握りしめる(手元のアップ)。

すばる「もっと、もっと、てっぺんまで、って思っとった」

※※※
(フラッシュ)
ステージの照明を浴びて赤色の光を反射するすばるの目のアップ。
すばる「もっと……、もっとや!!!」
※※※

メンバーB「あの『もっと』って、そういう意味やったん?」

すばる、頷き拳の力を抜く。

すばる「せやけどな、今日は満足してしもた。こう……、体中の血がな、熱くなって、頭バカになりそうなんやけど、お前らの音も、観客の声も、ちゃんと聞こえとって、まぁ上手く言えへんけど、なんや泣きそうになってな」

すばる、伏せていた目を上げメンバーA・B・Cを見据える。

すばる「『もっと』って思ってたから、俺は前に進めてたんや。満足してしもたら、もう前に進めへん。せやから、俺のことはここで置いてってくれ」
メンバーC「……すばる」

すばる、メンバーCに目線を向ける。

メンバーC「俺らな、いくらインディーズ言うてもデビューしてんねんで?」
すばる「おん」
メンバーC「すばる目当てで来てる人やっておるし」
すばる「うん……、せやな」
メンバーC「それでも、辞めるん?バンド」
すばる「……すまん」
メンバーC「(溜め息をつく)何年後ろから見てる思っとんねん。すばるが1回決めたら曲げへん頑固モンやってことくらい、とっくに知っとるわ」

メンバーB、頭を掻く。

メンバーB「せやなあ~、すばるは頑固モンや」

メンバーB、すばるの肩を小突く。
目を伏せるメンバーB。

メンバーB「でも、こうやって長い間一緒にバンド組んでるとな、すばるが音楽に対して頑固になる訳が分かる気がするんよ。歌ってる時のすばる、ホンマに真剣な顔しとるもん」

メンバーB、すばるの目を見る。

メンバーB「せやから、すばるが『最高やった』って言うなら、それは本当なんやろけどな。でも、俺らは止まらへんよ。前に進んでく。」

メンバーB、困りがちな笑みを浮かべる。

メンバーB「でもな、たま~に躓いたらすばるのいる方に振り返るから、その時は助けてな?」
すばる「……おう、任せとき」

メンバーA、すばるを真っ直ぐに見つめる。

メンバーA「俺な、すばるくんのライブの時のギラギラした目、好きやってん!」
すばる「初耳やで、そんなん」
メンバーA「めっちゃかっこよくてな、いつだって俺の憧れやった」
すばる「……おん」
メンバーA「そのすばるくんが、満足出来たって言うんやったら、それはええことなんやろな」

メンバーA、指で頬を掻いてはにかむ。

メンバーA「俺、すばるくんが満足した音楽の中で、ギター弾いたんやな、すごいな」
すばる「うん、お前は凄い。……せやからな、コイツ、お前に持っててほしいんやけど」

すばる、自分のギターをメンバーAの前に突き出す。

メンバーA「えっ!ア、アカンよ!アカン!すばるくんの大事なエレキやんか!」

メンバーA、狼狽えたように首を振る。

すばる「だからや。コイツはまだやれるし、連れてったってくれ」

メンバーA、すばるの真剣な表情に根負けしたようにギターを受け取り、再びはにかんだ笑みを浮かべる。

メンバーA「ありがとう……。大事に……、大事にするなっ」




○電車・車内(夜)
すばる、目を閉じる。




○ライブハウス・出入口(夜)(回想)

メンバーB「これで今生の別れって訳でもないんやし、たまには顔出してな」
メンバーC「今度飯でも行こうや、美味い店見つけたんやで」
すばる「おう、楽しみにしとくわ」
メンバーA「今度!すばるくんのギターの手入れの仕方とか、いろいろ!教えてな!」
すばる「分かった」
メンバーB「ほな……、またな」
すばる「おう、また」

すばる、メンバーA・B・Cに背を向け歩き出す。

(回想終わり)




○電車・車内(夜)

すばる、顔を窓へ向けている。
すばるの表情は見えない。

車掌(声)「次はー、……」




○最寄り駅・ホーム(夜)

ホームに降りた女子高生A、すばるに気付き後ろから駆け寄る。

女子高生A「やっぱり!すぅくんやん!」

すばる、後ろを振り返り女子高生Aに対してニヤニヤ笑う。

すばる「なんやお前、こんな時間に。夜遊びか?」
女子高生A「アホか!部活や!」

すばる、ニヤニヤとした笑いを深くする。

すばる「せやろな~色気もへったくれもないもんな、お前」

女子高生A、すばるの肩に軽いパンチ。

女子高生A「うっさいわ!これでも結構モテるんですぅー」
すばる「ほんまかー?」

すばる・女子高生A、談笑しながら改札外へ歩いていく。




○団地・公園

ブランコの周りに集まる子ども数人。
中心にはすばるがブランコに座っているが、子ども達の影になっていて見えない。

子どもG「すばるお兄ちゃん!うち、次はプリキュア聞きたい!」
すばる(声)「プリキュア~?兄ちゃん分からへんから、ちょっと歌ってえや」
子どもG「もぉ!しゃあないなあ!」




○同・公園外

何かの音に気付いたゲン(6)、ゲン母の服の裾を引っ張る。

ゲン「ママ、ママ。なんか聞こえる」
ゲン母「あら、本当ね!行ってみようか」
ゲン「うん」

ゲン、ゲン母に手を引かれ公園内へ。




○同・公園

子どもG「すばるお兄ちゃんすごぉ~い!」
子どもH「次!次ぼく!」
子どもI「アカンよぉ!次ぼくやって!」
すばる「もぉー、ケンカすなよー?……お?」

すばる、近付いてきたゲンとゲン母に気付く。
2人に歩み寄りゲンの頭を撫でて目線を合わせるようにしゃがむすばる。

すばる「見ぃひん顔やな、坊主」
ゲン母「最近C棟に引っ越してきたアオヤマです。ほら、ご挨拶しなさい?」
ゲン「こんにちわ、アオヤマ ゲンです」
すばる「(笑いながら)ちゃんと挨拶できてえらいなぁ、ゲン」

すばる、再びゲンの頭を撫でる。

ゲン「ねぇ、それ、なぁに?」

ゲン、すばるの手の中を指さす(手のアップ)。
ハーモニカが日の光に照らされて光る。

すばる「これ?これな、ハーモニカいうんやで。ほら」

すばる、ハーモニカを鳴らす。

すばる「こうやって音出すんや」
子どもG「すばるお兄ちゃんすっごいんやで!うち、今プリキュアやってもろてん!」
子どもJ「この前は仮面ライダーやってんで!」
子どもK「すばるお兄ちゃんな、言うたらな~んでもできんねん!」
子どもG「魔法使いみたいなんよ!」
子どもG・K「なー!」

と顔を見合わせて笑う。
ゲン、ハーモニカに釘付けになる。

すばる「なぁ、ゲン」

ゲン、顔を上げすばると目を合わせる。
すばる、ゲンの真っ直ぐ見つめる瞳がを見て、眩しそうに目を細めながら笑う。

すばる「ゲンは、なんの歌が好きなん?」




○電車・車内

断続的なレールの継ぎ目の音。
車内に人は疎ら。
すばる、座席の端に座り、横を向いて肘をついた上に顎を乗せる。
すばる、目を閉じる(目元のアップ)。

※※※
(フラッシュ)
バンドメンバーとの練習風景。
言い争うすばるとメンバーC。
見守るメンバーB。
すばるとメンバーCを交互に見ているメンバーA。
※※※

※※※
(フラッシュ)
すばる、バンドメンバーと居酒屋で食事。
すばるに絡むメンバーCと顔をしかめるすばる。
メンバーB、メンバーCをすばるから離す。
メンバーA、メンバーCに水を手渡す。
すばる、その様子を見て顔を綻ばせる。
※※※

※※※
(フラッシュ)
ライブ中のステージ上。
メンバーAの難易度の高いギターソロを演奏しながら見守るすばる、メンバーB、メンバーC。
メンバーA、成功し、ホッと息をつく。
すばる・メンバーB・C、顔を見合わせて笑う。
※※※

すばる、目を開ける(目元のアップ)

車掌(声)「次はー、……」

すばる、口元に笑みを浮かべる。
立ち上がりドアへ向かうすばる。
ホームの人混みの中に紛れていく。





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お粗末さまでした!!!!!